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本、映画をつづる日記
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多くの 伏線を見事に全て回収していった、本格ミステリー。
親友と恋人に裏切られる、というはらわた煮えくりかえるような設定で、唯一の肉親である兄が復讐のために推理を進めるストーリー。
その設定でもう先が気になって仕方がない!
勧善懲悪のような気持ちで、
被害者側にも変に感情移入してしまったため、二人が追い詰められる様はわりとスッとしてしまったし。
そして無実にも関わらず、あえて容疑者のような道を進んだ兄と刑事のやり取りも見もの。
対立する関係でありながらも真犯人を見つけ出す、という共通の目的を持っており
拮抗するほどの知性と度胸を備えているので、容疑者•刑事の駆け引きが成り立つ。
その位置をキープしつつもじわじわと信頼関係を築き、最終的にはその関係が兄を救ったと。
加賀の勝因は、ホワイダニットを重視する人間味溢れる男だったからではないかと思う。
そして、唯一第三者として冷静に外から見れる役割であるからこそ、主人公とは異なる視点を持つことが出来、不利な状況にありながらも真実を掴むことができた。
その人の性質、心情を常に念頭に置いているから、兄の行動の意図を正しく推理し、良好な関係性を築くことができた。

推理の過程がじっくり描かれているのは面白かったが、肝心の『読者が推理できる』という売りに関してはあまり期待出来るものではない。
ほとんどを登場人物がやってくれているうえに、推理の手引きでさらに大ヒントを得られるからである。
そこだけ残念。
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白痴の青年が知力を得て、失う話。
この作品において最も賞賛されるべきは、チャーリーの緻密な思考、感情の描写だと思う。
IQが低い時期の感情や思考パターンなど、読者だけでなく、著者も分からないはずなのに、それをリアルに描ききった。
ゼロから得る際の期待、得た後の失望、喜び、失っていく際の焦燥感、一人の人間の多彩な感情表現を詰め込んだ。

まずは他者に好かれたいという気持ち。
彼の行動の根幹は全てそれ。
母親に、友達に、先生に。
その気持ちは誰にだってあるのに、幼い子供のの口調で語られることでとても切なくなった。
同時に、この感情は人間の本能なんだなと感じ。
『あれが出来たら、頭が良くなったら僕はきっとみんなに好かれる、褒めてくれる。』
単純でダイレクトな思考が心を打つ

このように、弱者に寄り添い、弱者の地位を世に知らしめた本でした。
トリックとしては新しいなと…!!
明かされることで本当に今までの流れが変わってしまう。主に映像が
ハードボイルドな語り口調、性の語りから始まる物語、『さくら』という名前、さくらの容貌、妹の趣味、青年時代のヤクザストーリーなどなどトリックの仕掛けがゴロゴロとあり、自然に騙されていった。
そして確かに主人公が老人であることで合点がいった点も多く…
安さんと友達ということ、主人公のフリーターな生活、販売会に紛れても違和感を感じられない夫婦。
でも伏線よりは騙し要素の方が強すぎたと思う。
ハサミ男のような『気付けたのに…!』という悔しさは無かった。
若々しく感じたセリフ回しも、最終的に『老人の可能性』という意味合いで結論付られ。
このメッセージに関しては特に心動かされることはなかったかな。
まぁ当てはまってないしな。
ヤクザと節子のストーリーもあんまり好きではなく。
驚きはあったけど、まぁ普通という評価です。
火車 宮部みゆき このミステリーがすごいベストオブベスト第1位の作品。
山本周五郎賞受賞。 とても分厚い。

「探し人である女性が実はカードローンで借金まみれになっており自己破産してしまった」
「更にその探し人は別の人間がなりすましていた」
という事実が前半で明かされ、引き込まれる。
自己破産に関しては、他所の醜聞がすぐに噂になる理論で面白いと思ってしまったんだと思う。
発言小町のように人の不幸は蜜の味というような。
なりすましは単純にトリックとして。

弁護士がカードローンの実態について長々と語るシーンは恐らく作者にとってメインのひとつだったのだろうけど
だれてしまった。
実際に弁護士の人に協力を仰いだとのことだったので、
ここはいじることなくそのまま引用したのかもしれない。

それでもクレジットについて知識を得られ、現実を知れたのは為になったし、
人がカードの罠に陥ってしまう理由を「夢を得るため」と結論づけた点は
好意的に感じた。
身近だけど詩的な発想だなと。

それと並行して、『誰かになりかわりたい』という想いを持つ人に対しても
メッセージを投げかけていて。
その流れで印象に残った小話が蛇の話。

蛇の脱皮って命がけなんだって。なぜそんな苦しい行為を何度もするのかというと、
脱皮をすれば足が生えると信じているからなんだって。
蛇なんだから人間になる必要なんてないのにね。

心の底から納得できたわけではないんだけど、分かってはいた事を改めて指摘されたような感じ
殊能将之 ハサミ男 名称やメディアの印象付け、噂などにより固められた固定概念を使った叙述トリック。
作者の罠にすとーんとはまり、逆に爽快。
私的騙された書籍ランキングベスト3に入る。
伏線も多々…
ある人物とある人物を混同させるようあえて書かれているのだけど、真相を知った後の印象の違いにまた『イメージ』というものの恐ろしさを知る。
男性と女性、美形とデブ。
同じ行動をしていても、受け取る印象が大きくかけ離れていた。
一体自分はどれだけの事を見逃して、どれだけの事実をみる事ができてるのだろうなーと不安になりました。


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