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本、映画をつづる日記
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スクラップアンドビルド 羽田圭介 日常を祖父を通した「老人」と関連付けた視点で見る話。 バラエティで見る羽田のキャラクターからは想像の出来ない文体、思想。 高齢化まっしぐらの現代日本に即した社会派小説。 手厚い介護は老人の体を衰えさせ脳をも衰退させる、テレビは視力の悪い老人にとって映像も内容も追えないため適していない、など多くの若者が見誤っているであろう現実を学ばせてくれる。 「世間の優しさ」に隠された真実を露呈し、大胆な方法で祖父を助けようとする主人公。 就職活動が長引いているニートだが、自活能力も精神力も想像力も備わっているバランス感覚の良い心優しい青年。 そんな青年ですら血の繋がった祖父に対する苛立ちを感じる事が多々あるという介護の厳しさも描いている。 健常者が想像も出来ない気弱さと、思い込みの強さが生み出す不可能と、対象によっては強く出るずる賢さと。 祖父の虚弱を意識する度に、自らの身体を鍛え「ああはなるまい」とする青年の対比もまた、必要悪であり若者と高齢者が共存する道なのだと作者は述べている気がする。 リアルな目を背けたくなるテーマを取り扱いながらも、読みやすく読後感の軽い小説でした。
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SF要素を掛け合わせたラブストーリーだった。
現実的シーンと前記シーンとは矛盾を孕む非現実的シーンを交互に進めていく構成となっており、二つの差に違和感を感じながら、親友の恋人への横恋慕と積極さにハラハラしながら先が気になる展開でどんどん読み進めてしまった。
東野圭吾らしく専門的な科学知識をふんだんに取り入れているが、記憶や感情などの題材を使い、身近な範囲内で説明してくれていた為頭に入りやすい。
この話は記憶の改編が一貫したキーとなっているが、隆史を揺らがせた最たる原因は恋愛要素として示されている。
隆文は、自分の夢を絶ち、家族とも言える親友を裏切った。
そしてその結果、罪を消すために自己のベースである記憶を消した。
智彦も自分の夢を諦めた。
恋愛の終わりを覚悟し、自分の罪を自覚し、償いとして自己を犠牲にした。
そして親友と彼女の幸せを願った。
彼は眠りにつくことにはなったし環境も変わってしまったが、彼自身は何も変わっていない。
これを隆史は「強い人」と表現した。
この行動は持たざる者の欲望と、既に手にしている者の立場の違いによる願いの強さもあったのかもしれない。
渇望は理性を無くすが、その分強い力を発揮する。
そして彼は恋愛を一度手にしたが全てを失った。
智彦は喪失感を味わいはしたが、彼には自己犠牲による多少の達成感もあっただろう。
これは綺麗事を言ってるエンドかもしれない。
それでも幸せの選択って何かを得ることに限らないということを示しているのかなと感じた。
島田荘司
確かに最高のトリックだった。
死体を繋ぎ合わせて5つの死体を6つに仕立てる発想、そして上記を成立させる為のアゾートという概念をも自らが作り出したという構想。
壮大で斬新でしかしルール破りではない、見事なものだった。
ホワイダニットも最初の説明で予想は出来る範囲。
犯行方法は難易度が高いが、犯人の予想が付けるほどのネタは充分に埋め込まれている。
半分ほどが事件の説明であるため前半は非常に退屈だったが、全く予測が付けられなかった問題にこんな答えがあったなんて!という高揚感を味わえたのでよしとする。
ミステリーランキング2位かつドラマ化もしていてかなり期待していた作品だったんたけども、期待にそぐわず…
アリバイ破りの推理小説。
本当にこれ一点。
登場人物の人間性があまり描かれずに淡々と話は進み、起伏も特にない。
一歩一歩丁寧に足を使って捜査を進めはするも、その過程は少し冗長気味。
語り部の思考過程も勘が鈍すぎる。
妻も共犯だったのは驚いたけど、そんな伏線あったかなと疑問が。
ちょっと唐突すぎやしないか。
時代が違いすぎたのだろうか…
読みやすい薄さだったけども、話も薄かったという。
社会派かなぁこれ。
難しかった…
問題編と解答編の境はしっかりしていて、解いてやろう!という気持ちにはさせてくれたんだけど。
解答の入り口となるキーワードが理系じゃないと解けないという狭き門。
そんなものタイトルにするなんて…純理系小説…

ちょこちょこ挿入されている真賀田四季の価値観はなかなか面白い。
だが助教授が書いたというだけあって、全体的に小難しいが論理的な思考展開をする。
「人は死など恐れていない。彼らが恐れているのは死に対してではなく、死に至る生である。死がくるしくなかったら誰も死を怖がらないでしょう?むしろ生がバグではないか。だから人は意識を失う眠りを心地よく思うのだし、きっと生まれて来る際にないて叫ぶのだろう。」
他にも「他人に殺されたい」「直接的コミュニケーションの非合理性」
一般的感覚からは大きく逸脱しながらもロジカルで説得力のある理論。
圧倒的な天才っぷりと存在感は信仰的な気持ちを抱いてしまいそうなくらい。

そんな四季が仕掛けたトリックも計画も普通じゃない。伏線は張ってあったけど常軌を逸しているので読めず


総じて言えば、孤島で起きた本格ミステリー。
トリックは前衛的だが、読者には親切にヒントを与えている、比較的フェアな作品。
ただし、肝が理系の話なので、文系はこんなのってないというような気持ちになってしまうかも。
感情面はわりと淡々と描かれており、更に犯人が非人間的なため、心はそこまで揺さぶられず


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